新外交フォーラム創設・鼎談パーティでの代表挨拶 | 新外交フォーラム New Diplomatic Forum 代表 野口東秀

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新外交フォーラム創設・鼎談パーティでの代表挨拶

 皆様、こんばんは。代表の野口東秀でございます。まずは、本日、お忙しい中、小さいながらもスタートした新外交フォーラムの創設パーティにお越しいただき、誠にありがとうございます。衷心より感謝を申し上げます。
 ●奮発有為
 なぜ、新外交フォーラムを設立したのか、なにをするのか、他の研究機関と比べどのような特徴を出していくかということはお話させていただきますが、その前に皆さま、設立と関連する言葉として、「奮発有為」という熟語をお話しさせていただきたいとおもいます。これは習近平氏の言葉で、「積極的に行動し成果をなす」という意味でございます。
 ●中国の挑戦の本質
 いま、米国の軍事力で維持されてきた戦後の「平和」を米国の力が相対的に低下する趨勢にある国際社会。いかにして維持するのかという大きな挑戦が待っています。米国は中国を警戒しつつも顔色をうかがい、中国は経済、安全保障面での既存の国際体制(秩序)をかえようとしている。いずれにしろ米中は対決を避け、経済的にお互いにウインウインで勝利したいというのが現在の構図なのだと思います。
 習氏は「中国という獅子は目覚めた。だが平和的で親しみがあり、文明的な獅子だ」と言いました。さらに「今、中国はいかなる時期よりも中国の夢という目標に近づいている」と内外に宣言しております。これは自身の求心力を高めるだけの言葉なのか、中国式の文明的獅子を目指しているのか。
 米国の著名な軍事戦略家エドワード・ルトワックは現代を「好戦的な威嚇の時代に回帰しつつある」と述べています。これは中国が念頭にあります。まさに中国の挑戦の本質は何かを知ることが一番重要な時に来ているのではないでしょうか。
 ●奮発有為(積極主導)がキーワード
 2013年10月に中国で周辺外交工作座談会が開かれ、習近平さんが「奮発有為に周辺外交を推進、良好な周辺環境を勝ち取る」と明言しました。これは一部の外交関係者の間では、鄧小平の「韜光養晦」(能力を隠して力を蓄える)を放棄したとも語られています。いずれにせよ、外交、安全保障政策を「積極性」に重心を移したとの見方が強いわけです。
 キーワードは「奮発有為」つまり「積極主導」。これが習政権の政治から経済、外交、軍事の政策決定で重要な方針となっています。活発な周辺外交、東アジアでは米国を排除し中国が主導して経済・安保体制を構築しようとする姿勢はすべてこの「奮発有為」の政策によるものです。
 中国の軍事力だけをみても、現代線を戦うパワープロジェクション(投射)能力は急速に強化されていますし、「米国の背中が視野に入った」と自己主張を強める強硬姿勢に転換しているわけですね。
 「積極主導」の方針はこれからの習政権の運営で貫かれ、この方針が「国際秩序」を中国にとって有利な形に変えていこうという根本にあるわけです。
 中国の挑戦の本質を知ることが一番重要ではないかと申し上げましたが、中国の台頭の問題は、経済と軍事安全保障の確執の問題に帰着すると考えます。対中国という観点では、経済と軍事安全保障との関係を発信する必要があります。経済政策をつうじて相手国のパワーを無効化し封じ込め、相手国に経済的利益の提供を通じて相手国の迎合を導く手段を中国がとってくる可能性があります。
 ●留学から産経で日本の弱点
 私はかつて、大学生の時に北京の中国人民大学に留学し外国人として初めて卒業しました。留学しましたのは、中国は日本を飲み込む国になるんじゃないかといういわば「敵を知らねば」精神で、ひねた性格で「日中友好、友好」と叫んでいた時代ですから、中国はそんな単純かという疑問があったわけですね。
 その後産経新聞社の記者として北京におりました。人民大学を卒業し、最初のウオッチャーとしての仕事は記者として右も左もわからない時でしたけど、天安門事件でした。その後、中国を見続けてきましたが、痛感しましたのは、根本問題は、日本の戦略性の欠如、事なかれ主義だけでなく、軍事力軽視、情報収集の弱さ、民間外交や発信力を軽視する日本の政治だったわけです。
 ●民間外交パイプ
 今や外交は官僚と一部の政治家だけという時代ではないと思います。新外交フォーラムは、中国問題、つまり内政、外交、経済、安全保障、ビジネスなどの課題を切り口にし、セミナーや中国とだけでなく、米国、東南アジア、中東側とのシンポジウムを開き、内外に日本の国益に資する発信をしていく。少しでもその役割を担いたいと思うからであります。HPでは各分野の専門家の方々のインタビュー動画や原稿を公開していきます。また、あらゆる各層を取り込んだ訪中団、訪日団を組んでいきたいと考えております。
 ●三つの原則
 新外交フォーラムには三つの原則があります。①国益に資する②中国の顔色を窺わない。(セミナー、シンポジウム、訪中団を組む。中国側のあらゆる各層、政治・官僚、民主化へ動いている勢力、富裕層から弱者、ビジネスマン、軍、環境などのNGOとの交流、議論の場を組む)③情報収集と発信力、提言力を磨くーの三つです。
 また、新外交フォーラムは政治団体の支援や政治活動とは一切、無関係であることもご理解いただきたいと思います。
 今後、さまざまな団体、個人とコラボしていきたい。すでに東南アジアの専門家グループや慰安婦で海外に発信しようとする方々と連携するお話を頂戴いたしております。統一会派のように小さな団体と協力し、一本の矢は折れても三本の矢は折れないという形にしたいと思っております。
 ●シナリオとチャンネルの大事さ
 中国はどんなシナリオになるのでしょうか。分裂か、覇権国か、未成熟国か、いろんなパターンがあります。日本にはかなり崩壊分裂論というものが期待も含めてありますが「弱い中国」が日本にとっていいとは限りません。まして「民主化された中国」でも日本にはデメリットがあります。
 中国が大きく変化、例えば共産党が大きく変化する時ですが、習近平が「夢」を国民に示すことができなかった時、矛先は十分に外に向かうでしょうし、いろんな層でチャンネルを持っていることが中国がどんなシナリオになっても極めて日本にとって重要となってくると思われます。
 さまざまな各層でチャンネルを維持して来なかったのがかつての日本の対中外交でした。このチャンネルという視点だけをみても、米国は経済的利益と関与のために中国との関係を重視する趨勢にあり、米中間の民間、研究者、政府や官僚などの交流チャンネルは日中、日米を凌駕しているのが実情です。米国への留学生は中国がダントツですが、中国への米国人留学生の数もいずれ韓国留学生と並ぶ日は遠くないことでしょう。
 新外交フォーラムでは、さまざまな方のお力をお借りしたいと思っております。全ての集約点は日本の国益に資するという一点に尽きます。
 ●卵論
 私は朝鮮の専門家ではないですが、北朝鮮では「卵論」なるものがあるそうです。韓国で行われているアジア大会でウエイトリフティングの北朝鮮の金メダリストが「キムジョンウン首領様の卵に思想を注入すれば岩を砕ける精神でメダルを獲得できた」と言ったそうです。
 卵で岩が砕けるなら世話はないのですが、小さな水滴がやがては滝となり岩を砕くことはありえましょう。新外交フォーラムは岩を砕かなくても大きなひびくらいは入れられるようになることを目標とします。
 現在、フォーラムは人的、資金的、セミナーの場所等、運営には難があります。どうぞご支援をいただきたくお願い申し上げる次第です。皆様のお力をお借りし、力を集め、一歩づつ進めて参る所存です。本日は新外交フォーラムの創設パーティにおこしいただき、皆様、誠にありがとうございます。(部分的に実際のご挨拶と異なります)

新外交フォーラム|New Diplomatic Forum

セミナー研究会開催のお知らせセミナー一覧

開催日

テーマ

  • 2018年9月19日 「朝鮮半島と台湾を取り巻く安保情勢-ポスト米朝首脳会議を考える」
    ●グラッドスペース3F
    ●18時 会場受付

登壇者

 秋山 昌廣(第22代防衛事務次官、公益財団法人東京財団元理事長)

開催日

テーマ

  • 2018年5月23日 終了しました。 「米国の最新の軍事戦略報告」
    ●フォーラムミカサ エコ8階会議室
    ●18時 会場受付

登壇者

 廣中 雅之(元空将補、伊藤忠商事航空宇宙部顧問)

開催日

テーマ

  • 2018年4月25日 終了しました。 「米中の取引はあるかー北朝鮮問題からの視点」
    ●フォーラムミカサ エコ8階会議室
    ●18時 会場受付

登壇者

秋田 浩之(日本経済新聞社本社コメンテーター)

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